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クリスマスイラスト蝋燭

2023年12月 第44号 発行 聖ベネディクト女子修道院

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ガーナ マジック

 毎年行われる日本女子修道会総長管区長会総会の今年のテーマは「ポストコロナ時代における教会の宣教」―シノドス的な歩みの中で― でした。
講師のお一人だった東京教区菊地功大司教様は、80年代にアフリカのガーナへ派遣された時の体験談「ガーナマジック」でシノダリティを分かりやすく次のようにお話をして下さいました。

 当時のガーナは山奥の電気や水もなく、経済的な問題、病気など、どん底の生活でした。村人の多くが農民で、現金収入はほとんど無かったにもかかわらず、人々は毎日をにこやかに過ごしていました。
こんな中でどうしてそんなに楽天的に生きられるのかを訪ねると、答えは何時でも必ず「ガーナマジックがあるから」と返ってきたそうです。
それは、次のような話です。

 ある時、物資が送られ、その中にあったお米の袋を、両親を亡くし、ハンセン氏病を患っていた姉と弟の所へ持って行き、 「二人で食べなさい。誰にも上げてはいけない。」と言って渡しました。
でも、村人が来て米を分けるように言うので、「神父様が人にあげてはいけない二人で食べなさいと言った。」と言って誰にも渡さなかったそうですが、次の日、二人の所に行くとお米はなく、「誰かが持って行った。」と話す。
朝早く誰かが米を奪って売ってしまったので、神父様は憤慨し、村の長に「ひどいことをする!」と談判をしたそうです。
すると村の長は
「悪いのは神父さんだよ。あの二人があの体で今まで生きてこられたのは誰のお蔭か考えてみなさい。村人が皆で世話をしていたからだよ。ガーナマジックとはどんなに困っていても、野垂れ死ぬことはない。見捨てられることはない。必ず誰かが助けてくれる。そういう確信なんだよ。」
と言われたそうです。

 衣食住は外部からいくらでも提供できるが、希望は人との出会い、誰かが一緒に心配してくれることで生まれる。
この彼らの核心は困難の中にあっても希望を生み出します。
しかしこれは一人の人の努力からではなく連帯の中での協力が必要とされます。

 私たちがアダムとエワのように命を頂いたのは彼らのようにお互いに助け合う者となるためです。
だから連帯のうちに支え合うのは私たちの優しい性格の賜物ではなく、命を生きる者にとっての責任でもあります。
この姿勢を教会の当たり前の姿にするのが一番の目的です。

 教皇様はこれを前提とし、教会における調和のうちに結ばれた多様性と連帯の実践を目指してシノドスの道を歩む決断をされました。

 あまり理解できていなかった「シノダリティ」は、初代教会の信徒たちが福音を日常の中で歩み、私たちの基となってくださったと心に落ちました。

 そして、飼い葉桶の中から語り掛けてくださるイエスさまをお迎えするこの時期に、今一度振り返って再出発を心に刻みます。

院長 Sr.ナオミ 田中 美智子

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