第32号 2015年6月 発行 聖ベネディクト女子修道院 

オブレートだより

私の宝物

 若葉が美しい季節の中でお過ごしの皆さま、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
日本の教会の典礼は、四季と共に変わる自然界と一致しているので、私たちの祈りを豊かにし、神様を思う時の助けとなります。

 2014年、2人の共同体の姉妹を見送りました。
入院する直前まで使用していたシスターの個室を整理・片づけながらいろいろ考えさせられました。
まず、皆さんの宝物はなんですか。どんな宝物をお持ちですか。

 1人のシスターの机の引き出しからきれいな小箱に入ったコロコロした石が数個出てきました。
どこかの川原か、道ばたから拾ったのか、それとも聖地の記念の石をいただいたのかなと思いながらも、私はただの石と分別し、修道院の建物周辺に敷き詰めている玉砂利の上にポイと捨てました。
あのシスターにとっては、恐らく大切にして思い入れのある石を、普通の石でしかないと見た私。
石だけでなく愛用しただろうと思われる物を処分したあと、あれで良かったのかなと、自己嫌悪に陥ります。

 私物を持たず、物への執着を捨てることを誓った私たちですが、昨今の物質主義・安易に物が手に入る時代の中で私物を持たない生き方は難しいものです。
「断捨離」の生活にはほど遠い私たちです。

 詩編では、神様の宝は、「イスラエル」と歌われています。
形のないもの、目に見えない宝物を探し続けたいものです。

 ところで私の宝物は、両親からもらった信仰です。

院長 シスターマルタ 上田 若子