第36号 2015年12月 発行 聖ベネディクト女子修道院 

オブレートだより

聖ベネディクト会と私     牧野 ゆみ子

 カトリック校で学び受洗のお恵みをいただいたのは中学3年の時60年を越える昔のことです。
住まいの関係で東京の目黒聖アンセルモ教会に所属、教会青年会で出会い、結婚した主人は転勤も無く、いまだに同じ教会で過ごしています。
娘の結婚式も孫の洗礼式もすべて聖アンセルモ教会でした。

 聖アンセルモ教会は、聖ベネディクト修道会ご担当の教会で、戦前から日本にいらしたヒルデブランド神父様が主任でした。
典礼の専門家としても有名で、学校でも教鞭をとられ、典礼講座には聖ベネディクトの精神を学びたいと大勢の出席者がありました。
第二バチカン公会議以前に、すでに典礼について学ぶ機会を得たのは、すばらしい恵みです。
主日の典礼は荘厳な雰囲気に満ち、グレゴリアンの調べと共に深い安らぎの中で捧げられました。

 すぐ近くの麻布には聖ベネディクト女子修道院もあり、ミサや教会行事にはいつもシスター方のお姿が見られました。
今もお元気なシスターレナータ森に初めてお目にかかり「アメリカから帰国なさった」とご紹介いただいたのも教会の夏祭りだったと思います。
「オブレート」にお誘いくださったのはシスターホスチア松本です。
修道者と信徒は上下の関係ではなく「ともに祈り合い助け合う仲間」というご説明は、「平信徒(ひらしんと)」と呼ばれていた時代に驚きでした。
信心や祈りが義務付けられているのではなく、各自の選択に委ねられると言うのも新鮮で、入会をお願いいたしました。
キリストを生活の中心に置き、神と人への奉仕のために生きると言う意向は、いつでもどこでも持っているものですが、大人扱いされ各自に任されているだけに責任を感じます。

 この度、修道院に泊めていただきシスター方と4回の「教会の祈り」にご一緒出来ましたのは、心休まるひと時でした。
頑張って5時起きして参加した「朝の祈り」は、凛とした空気の中で「今日一日は神のもの」と感じられ、勇気をいただきました。
「教会は千年の昔から、途切れることなく続けられているシスター方の祈りに支えられている」という言葉が実感できました。
今、目黒の教会では昨年ローマから帰国なさった田中神父様のご指導で、月2回金曜日の夜30数名の信徒が集まり「お告げの祈り・教会の祈り」が続けられています。
参加する度に、豊かな気持ちになります。
カトリック教会は「百年単位でものを考える」と言われますが、伝統とはそういうものなのでしょうか。

 10月2日朝10時から始まりました「オブレートの集い」は、先ず上田院長様の
  ①「何ものもキリストへの愛に優先させてはいけません」という聖ベネディクトの言葉について。
  ②オブレート会員は上下の関係ではなく祈り合い助け合う仲間。
  ③神への奉仕のために生きると言う3点について、ご説明がありました。
 次に「私はだぁ~れ?」という信仰生活の面からの自己紹介。
そして昼の祈り、昼食となりました。
午後は自己紹介の続き、最後に東室蘭教会主任の上杉神父様司式によるごミサが捧げられました。
神父様は「オブレート会に義務がないことは驚きだが自分で選んで神に奉仕する道を共に歩んでゆきましょう!」と力づけてくださいました。

 皆様とお別れし、赤く色づいた「ななかまど」の坂道を下りながら「聖ベネディクトの戒律」に裏付けされた祈り合い助け合う仲間として、シスター方が同じレベルに立って接して下さった恵み豊かな2日間を思い出し、その余韻に浸り、東京に戻りました。

 私にとってのガリラヤは中学時代から60年余り過ごしてきたベネディクト会にあるように思います。
そこはいつでも神様のもとに戻れる不思議な場所なのです。
この世だけではなく亡くなった神父様やシスターと主人、そしてたくさんの友達と[諸聖人の交わり]が出来る安らぎの場を持てる幸せを感じる「オブレートの集い」でした。

(東京目黒教会所属)