第33号 2016年6月 発行 聖ベネディクト女子修道院 

オブレートだより

皆さまその後お変わりございませんか?

 日頃より共同体のためにお祈りくださってありがとうございます。

 新幹線開通で騒いでいた北海道も、ご復活の典礼と合わせるかのように美しい緑の季節を迎えました。
私はこのみどりから心身を癒され、ストレスを軽減されていますが、皆さまはどんなものから疲れや心を癒されていらっしゃるでしょうか?
ペットからの方も多いのではないでしょうか。

 ある日、約束のお客様の男性が、白いトイプードルと共に来院されました。
さっそく玄関前で「こちらに繋いで下さい」と私。
「繋ぐ?うちの○○ちゃんは親がいなくなったら泣くんですよ」「吠えるんですか?」と私。
「いいえ、私から離れると泣くので、膝の上に乗せます、時間短くしますので中に」、対話がかみ合いません。
実は犬猫嫌いの私。
その上共同体の姉妹が整えた応接間に、この毛が落ち爪で床が傷ついたらどうしよう、頭の中は混乱し、ホスピタリティどころではありません。
この場はなんとか姉妹に応援を頼み、○○ちゃんを中に入れ、やっと用事を済ませました。

 思い返すと、幼少時の我が家の番犬は残飯を与えられ、悪天候でも外で飼われ、ひたすら人間様を守るため吠えることが任務でした。
また父の趣味でたくさんカナリヤを飼っていたので、猫は目のカタキでした。
こんな環境で育ったためか、トリミングで整えられ、ぬいぐるみのようであっても、抱き上げて「可愛いですね」など、どんなに努力しても言えないのです。
オオカミや小鳥たちと心を通わせて神様を賛美した聖フランシスコの生き方にはほど遠いのです。

 しかし、ペットは家族の一員であることを納得することは度々あります。
医学的な効果が実証されて、精神的な慰めや癒しをペットから受けている人々の体験談をよく耳にします。
話し相手にして心の内をさらけ出すことによって精神的な慰めを得ます。
しかも口答えや反抗心を表しません。
ですから私も嫌いであってもすべての被造物を思いやりの心で大切にする心は忘れたくありません。

院長 シスターマルタ 上田 若子