発行 聖ベネディクト女子修道院 2009年12月 第30号
この日、全世界で幼子イエスの誕生が祝われ、平和の中心は家庭であることを思い起こす日とも言えましょう。
今年9月、生後2ヶ月の赤ちゃんを連れたご夫婦が教会に見えた時、ごミサが終わると、どの人も満面の笑みで赤ちゃんと対面していました。
少子化で少なくなりましたが、このような光景で日頃むずかしい顔でニッコリともしない人が、赤ちゃんに話しかける時、
もうこれ以上できない喜びいっぱいの笑顔になっています。
不思議です、いちばんか弱く小さな命の赤ちゃんが、ねたみや憎しみで傷ついている大人の心を平和にしてくれるのです。
神様が両親を選び、授けてくださった大切な贈りものを目の当たりにして、愛する心が自然にあふれ出てくるからなのでしょう。
さて、マリアとヨセフに見守られて育ったイエス様の家族が模範であるように、
お父さんとお母さんの愛情の中で育まれ育てられるのが子どもの成長に理想的ですが、
変貌する現代社会ではこの家族関係を作り、守ることは容易なことではありません。
家族の愛を思う時、レンブラントの名画『放蕩息子の帰郷』に描かれている
お父さんの手が忘れられません。
放蕩の限りを尽くし父の元に帰って来た息子が、ひざまずいて父の許しを請う姿、
その息子を優しくしっかりと抱擁している老いた父の手、この父親(神)の右の手は
女性の手で、左の手は男性の手が描かれています。
深い霊的な意味を悟ることが出来ます。
画像をクリックすると大きな絵になります。
自分の生き方を振り返り再出発しようとする時、あるいは人間関係の中で信頼関係を回復する時に、神様の恵みと愛なしでは不可能です。
御父は、家庭の温かさよりもっと限りなく広く大きくいつでも何回でも立ち返る日を、
両手を広げて待っていてくださるのです。
厳しすぎでもなく、優しすぎもせずに、掛け替えのない子どもだから。
神様が私たちのために、この世に幼子イエス様を送ってくださったのは、
御父の優しさと慈しみのあらわれです。
身近な家庭の中でこそ、神様の愛に対する感謝の心を表してゆけるようになりたいものです。
院長 シスターマルタ 上田 若子
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