2014年12月 第35号 発行 聖ベネディクト女子修道院
救い主がこの世においでになりました。
2014年、主のご降誕をオブレート会員の皆様とお祝いできたことを嬉しく思います。
今年も皆様から共同体のためにお祈りをいただき、心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。
新しい年もどうぞよろしくお願いいたします。
ここで神様からの最大の贈り物である馬小屋の飼い葉桶に眠る小さな幼な子を、思い巡らして見たいと思います。
なぜ、救い主が小さな乳飲み子の姿で、しかも無力で人の手を借りなければ生きられない赤ちゃんとして私たち人間の中に生まれて来なければならなかったのでしょうか。
それは、神様が私たち人類に救い主を与えてくださった慈しみ深い愛を知ることができるように、また無力である小さな子供の姿を通して、多くのことを学ぶことの大切さを教えてくれるためだと思います。
ところで親の心子知らずで、一人で成長し大人になったかのように、親の無償の愛をすっかり忘れてしまいがちな私でした。
親である皆様もそうであるように、私の母も他の子供を家に残し病弱であった幼少期の私を連れて病院に行くため一時間かけて周りに人気のない所から急な山道を背負って駅まで歩き、
そこから国鉄で函館まで40分かけて通っていたことを、亡き母が生意気盛りだったころの私に語ってくれたことを思いだしました。
生まれてから大人になる成長過程の中で、あなたが一番大切な子なのですよと、私を静かに見守ってくれ、無邪気な心で信頼し委ねる体験、
この係わりを通して神に全てを委ねて生きようとする信仰生活の土台となるものをいただいたように思います。
聖書はまた、弱く小さなものの中にこそ神様の訪れがあり、恵みがそこにあることを教えてくれています。
それは、いち早く幼な子を礼拝するために駆けつけた羊飼いがそうでした。
強く力のあるものが生き残り、役に立たないものは切り捨てられる今の競争社会の中で見落とされがちなことではないでしょうか。
救い主は、今年も大切な贈り物を私たちにくださいます。
院長 シスターマルタ上田若子