2014年12月 第35号 発行 聖ベネディクト女子修道院
Sr.テレジア斉藤弘子
6月7日(土)札幌マリア院にて、全国修道女研修会があり、65名(本会より4名)が参加した。
テーマは『現代の若者たちと福音宣教』で興味深かった。
教会も修道会も高齢化が進む中で、「私たち修道者が若者たちに希望を与える存在となっていくきっかけとなるような研修会にしていきたい」ということがねらいだった。
講師は神言会の西経一神父様(名古屋の南山高等学校・中学校『女子部・男子部』校長)で、
①そもそも福音とは何であろうか。
②若者の「よろこび」と高齢者の「よろこび」は異なっているのか。
③あなたは自分の思い通りにならないことを愛する修道者であるか。
④旅する者、それは若者と修道者の共通の名称である。
⑤墓さえ開くのであれば、85歳や90歳は現役である。
⑥高齢化を嘆く前に、20年計画を立てよ、
の6項目を主に話された。
日頃、若者に接している西神父様のお話には、
たくさんの具体例があり、椅子に腰掛け長時間聞いているだけで疲れを感じるような年配のシスター方も背筋を伸ばして聞き入り、頷き、居眠りする人はいなかった。
あまりにも面白おかしいエピソードに会場中が笑い転げることさえ度々だった。
「よろこび」の内実は何か?私たちにとって、一番最初の福音宣教は父と母。
信者、未信者に拘らず、私たちは赤ちゃんの時、親に無償の愛で愛された。
人間社会は「条件と取引の交換」が現実で、やり取り交換に大人も子供も傷ついているのが現実だが、親は無条件で愛してくれた。
愛されていなかったら私たちは今ここに存在していない。
「ヨシヨシ良い子」とあやされ、何もできない我が子に「お前は良い子だ」と言い続け「高い高い」で喜ばせてくれたが、記憶に残っていない。
覚えていなくても、この事実に気づくと、人は父母の愛を通して神様の愛に気づく。
愛するのに理由は要らない。
親子の愛も、恋人同士の愛も「愛されるに相応しいからでない。おまえだからだよ。」
修道院の高齢化を嘆くのは事業を愛しているからだ。
事業をつぶしても、会員をつぶしてはいけない。
私たちはいくつになっても修道者。
取り柄は何もない。
それでもイエスから言われている。「お前を愛している」と。
死ぬまで修道者。福音の喜びを生きよう。
修道者は「歩く秘跡」であるべき。
思い通りにならないと「ブツブツ」言っているのでは、気に入らない人が死んでも、また、別の気に入らない人が出てくる。
イエスとの関係が出来ていないと、不満が募る。
「ムカツク!」これは感情のレベル。雨が降れば傘を差す。当たり前のこと。
神様の恵みをたたえるのであって、自分の働きを言い云いするのではない。
わがままな人は、マリア様になれない。
マリア様は、神様のみ旨のままに生きた人だから、という内容だった。
ミサ後、解散したが、基本線に戻ることで修道者の使命と喜びを再確認できた研修会だった。
JR札幌駅は「よさこいソーラン祭」で賑わっていたし、喜びに溢れた若者たちの踊りと笑顔が印象的だった。
※注釈…⑤墓さえ開くのであれば85歳や90歳は現役である…とは、キリストは「私は復活であり命である」「私を信じる者は、死んでも生きる」と仰せられました。
私たちはお墓に入って終わりではなく、キリストの十字架によって死後、復活のいのちが約束されています。
主の御前にあって、私たちは生涯現役と言えます。
Sr.プラチダ芦川まさ
7月8日から10日まで共同体の互いの係わりを深めるために、ファシリテイターとして松尾セシリアさんをお招きしての3日間の研修会が行われました。
セシリアさんは日本で始めてアラノンを立ち上げて大勢のアルコール依存症の家族とかかわってこられた方です。
セシリアさんは聖書のことばを通して、信仰の目から、非常に深い洞察力のある方とお見受けいたしました。
一日目の課題は、画用紙に自分の今一番気になっていること、困っていること、また怒りなど、心の状態を絵に描いていくことでした。
各自が自分の絵を皆の前で説明し、それをセシリアさんが注意深く聞き、その人の気付かなかった面を引き出しコメントし、適切なアドバイスをして下さいました。
二日目は、神の子である自分を絵に描き、プログラムが自分にとって変化をもたらしたこと、また何か自分の価値観が変わったことなどを絵に描くことでした。
この時も前回と同じくセシリアさんは一人ひとりを丁寧にご指導くださいました。
神の子となるにはエゴから自由になること、自分を主張すると神から遠くなってしまうこと、キリストは人間のエゴのために十字架を担い、全てを贖ってくださったことをセシリアさんは強調しておられました。
今回は個人指導ではなく、姉妹一同の前で自分を現わすことで、とまどった姉妹が多かったように思います。
しかし自分自身について、また一人ひとりの姉妹について、知らなかった面を気付かせていただき、これからの共同生活の対話と人間関係に役立つ有意義な研修会であったことを感謝したいと思います。